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記英国工党與社会党之関係 (楊守仁)      

(英国労働党と社会党との関係について)

 

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万国無政府協会の会議では、次のように言っている。「無政府主義を啓蒙宣伝する団体を組織することを、我々の第一の目的とする」。

 そのため英国では実際に弘道会を組織している。会で無政府文学のパンフレットを発行し、あわせて各地方で演説会を行っている。そのパンフレットの値段は、わずかに一冊一ペンスである。時によりビラを出すが、これらは演説会場でよく配布され、しかも無料である。パンフレットも無料のことがある。

 

 弘道会は専ら主義を広めることを主とし、演説とパンフレットの配布以外には何も行っていないようだ。

 

 しかし、ある英人はこう言っている。パンフレットとビラとは、その威力は実のところピストルや爆弾よりもはるかに勝っている。ピストルや爆弾を用いることは、無政府党人にとって、たまたまそうなっただけにすぎない。その作用は断続的で、目的を遂行しようとするやり方は、あまりに単刀直入である。また、その結果が影響を及ぼす範囲は極めて小さい。

 

 しかるにパンフレットやビラは、ずっと人々の心に働きかけ続ける。沈黙の中に作用し、効果は確かなものである。目的達成のために深慮遠謀を用い、影響の及ぶ範囲は全人類的である。

 

 およそ新しい思想を理解し吸収するには、その知識体系の置換・翻訳という過程を経ることになる。そのためにはテロルなどの行動ではなく、文章や文字によらねばならない。

 現在、我が同胞の、新しい思想や政治の導入に熱心な者で、パンフレットを手にしビラを撒く者を見ることは、あまり多くない。この運動は根も浅く脆弱であると言ってよいだろう。

 

 

 

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