明治三十八年(1905年)十二月十五日
●清国公使と留学生問題
進歩党の委員合田福太郎、青地雄太郎の二氏は清国留学生問題に関し昨日楊公使を訪ひ其真相及善後策に就き交渉する所ありたるに同公使は日本文部省に於て留学生取締章程を規定するに際し外務省を経て予め其可否に関する余が意見を問はれたるが其際自分に於ては不可なしと認むるも尚ほ念の為め一応留学生の意見を確めんが為め其意見を徴したるに学生に於ては其の大体には敢て異議なきも第九条(下宿に関する件)第十条(品行に関する件)の削除を望むとのことなりしを以て此旨文部省に回答せんとせしに之れより先き文部省に於ては省令第十九号を以て同規定を発布されし為め其手順を履む能はざりしは遺憾なりとす(中略)遂に斯る大事件を惹起するに至れり尤も此間には多少政治的意味の含まれ居れるやの疑なきにあらず左はあれ何分外国に於ける出来事故自国の法律を以て之を処置する能はざれば善後策に就ては殆んど手の附方なしと答へたる由(中略)因に右三氏は昨日午前駿河台の清国留学生会館を訪ひ留学生総代に面会したるが自ら言語通ぜざりしを以て該総代に通訳附添ひの上今日午前十時進歩党本部に出頭を求め引取りたり
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