明治三十八年(1905年)十二月十六日

 

●清国学生の意見(進歩党訪問、次は政友会)

清国留学生総代二名は昨日進歩党本部を訪問し調査委員合田福太郎、棚橋一郎両氏に面会して具状する所ありたるが其要は自分等は本国目下の状態に就ては秩序的改革を期するものにして決して孫逸仙一派の如き革命的の意見を有するものに非ず今回の文部省令に反対する所以のものは(一)本国政府の法令なりせば本国政府に反対の意を有する学生等に在ては唯之を遵奉せざるのみにて随つて非難するの要なけれど之に反し日本政府の法令は直に遵守すべきものなるが故に干渉の跡ある同省令に対しては反対せざるを得ず、(二)校則違背等に対する処分は敢て避くる所にあらざるも清国留学生に限りて其取扱を格別にするが如き不公平の省令には服従する能はずと云ふに在りて、尚両氏より苟くも法令に不満の点あらば堂々之を争ふは固より至当の事なるも同盟帰国同盟休校の挙の如きは甚だ不穏当なりと談りたるに総代は学生間に帰国者のありたるは事実なるも這は決して同盟しての行為にはあらず(中略)と答へ、重ねて両氏より本事件を解決せんと欲せば須らく文部当局者を始め各政党及び新聞社等を訪問し其真意を訴ふべし斯くせば世の誤解を拒ぐと同時に或は留学生の目的を達し得らるべしと説きたるに総代は予等も其要を信ずるが故に爾後は貴諭の如き運動に出づべく現に十八日には政友会本部を訪問する予定なりと述べて引取りたり

 

 

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