明治三十八年(1905年)十二月十五日

 

●清国留学生彙報

▲同盟休校

清国留学生の紛擾は各学校長等の訓示も本国公使の慰撫的諭告も更に其効なく依然として紛擾を継続し居り弘文書院、早稲田大学経緯学堂等の最も多数を有せる学校に於て今日に至るも未だ一名だも出校するものなく経緯学堂にては昨日門外へ三四十名留学生らの集合せるものあるに依り校内へ呼入れて尚ほ訓示する処あらんとしたるも彼等は頑として聞入れず遂に二三名の総代を選み僅に玄関に進みて其言ふ所を聞取らしめ直に引取りたり

▲官立学校留学生

官立学校に留学するものは第一高等学校の四五十名及高等師範学校等なるが此等の学生は何れも官費学生にして今回の騒擾分子にあらざるも彼等の脅迫に依り身に危険の及ぶを懼れ数日来何れも出校を見合せ居れり

▲留学生会館

学生らは紛擾以来駿河台なる同館へ日々多数集合し居り少しにても鎮撫的意味の掲示等あれば直に破棄し檄文を貼付して盛に強硬説を唱へ居れりと

 

 

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