明治三十八年(1905年)十二月十三日

 

 

教育時事 浦門

一、帝国大学事件と文部省の自殺

(略)

 

二、清国留学生問題

清国留学生の無分別は、畢竟意志の疏通に帰するが故に、深く怪しむに足らざるなり。意志の疏通は、個人の交際を妨ぐるのみならず国際上頗る考慮する価値あり。双方互に誠意を語れば、一時の激昂も、一場の笑ひと化すること少からず。清国留学生諸氏や、既に学あり識あり。思を此に致さば、方寸の中、補ふ所少からざるべし。一切の教育、子弟の勝手気儘を採用すべからざるは、別に云ふ迄もなし。此方針に基き、丁寧親切を旨とし、多少の品位を有せる人士を択び、事に当らしむるは、最も肝要なり。局に当る者、今にして三たび思を致さゞれば、邦人の信用上、其結果容易ならざるものあらん。所謂世間にて葬られたる人士を集め、外人に教を施さんとするが如きは、誤解を招く基なり。日本武士の面目は、海外人にこそ見せたきものなり。

 

 

★「帝国大学事件と文部省の自殺」にだけ傍点が附されている

 

 

もどる