明治三十八年(1905年)十二月十日

 

●清国留学生取締規則に反対の理由 

   十二月七日午後草稿 程家檉

今日の新聞紙上清国人同盟休校なる記事あり曰く「前略右は去月二日発布の文部省令清国留学生に対する規程に不満の念を抱きたるものにして該省令は広狭何れにも解釈し得るなり清国学生は該省令を余り狭義に解釈したる結果は不満と清国人の特有性なる放縦卑劣の意志より出たる団結も亦薄弱のものなる由なるが(中略)両三日中には本問題も無事落着すべし」云々と余は本記事によりて日本人の吾人に対する甚しき誤謬を知ると同時に文部省当局が斯る意向を以て本件に臨まば本件は愈々紛糾を重ね遂に潰裂収拾すべからざるに至り近来偶々萌芽を発したる東亜発展の機運も為めに一頓挫を来たし日清両国の為めに悲むべき結果を生ぜん事を恐るゝなり

(中略)

夫れ清国商人は日本の甚だ軽蔑せし所なり往年改正条約の実施と共に日本の列国民に雑居を許すや独り清国商人を排斥して曰く彼等は不潔なり不品行なり雑居すべからずと後ち清商の抗議甚だ熾にして遂に之を許すや彼等は日本の国法の下に日本人と同一の待遇を受け現に築地其他に雑居して自在職業に従事するも日本政府は彼等の為に未だ特別の取締を設くるを聞かざるなり夫れ日本に在留する清国商人は多くは本国に於て中流以下に在る人なり而して留学生は本国に於て悉く中流以上の子弟なり同じく日本に在留し中流以下の人は取締を受けず中流以上の人却て取締を受けんとす是れ吾人の到底忍ぶ能はざる処なり況んや留学生取締規則なるもの世界何れの処にも其例なくして単り日本に発布され偶々吾人の頭上に加へんとするに於てをや吾人は絶体に該省令を拒絶せざる能はざるなり (未完)

 

 

 

★全文をご覧になりたい方は、ゆり子まで

 

 

もどる