明治三十九年(1905年)十一月一日

 

 

●悪書生取締詩s(れいこう)

 

近時悪書生三々伍々公園其他公衆の集まる処に打寄り凶器を以て学生にあるまじき不正行為を演ずる者往々有りとて其筋に於ては此際一層厳重に取締を詩sする筈なりといふ

 

 

★ゆり子蛇足

取締規則とも留学生とも全く関係ないが、参考までに掲げた。学生の行動を取り締まるという動きがあったことが分かるが、問題は「学生にあるまじき不正行為」とは何か、である。こういう文言だと強盗か恐喝でもやっていそうだが、そんなことはあるまい。

当時は日露戦争直後だった。負けなかった戦争を「勝った」と国民に偽ったため、戦後の処理に対して国民の不満が募り、9月に日比谷焼き討ち事件が起きたばかりである。新聞紙面の大半を戦争関連の記事が埋め、政府への批判が渦巻く、騒然とした世情であった。

また、同年2月に陳天華は清朝への意見書を神田警察の説諭により断念したが、このとき警察は、学業を本分とすべき身なのに政治に口を出すとは学生にあるまじきこと、と説いたという。

この記事にいう「学生にあるまじき不正行為」も、その種のものであったに違いない。政府に反対する演説や政治集会だったのだろう。

 

 

 

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