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多摩丘陵から 〜日記のようなもの      

 

2018年5月 3日  11 20

 

●5月3日(木)

 憲法記念日であり、小尻記者と犬飼記者とが撃たれた日。

 

 

 先月29日の日曜日、モノレールのセット券を買って高幡不動尊から昭和記念公園へ……というコースを考えたのだが、多摩センターで切符を買おうとしたら、昭和記念公園だけが発売中止だった。妙だなと思いながら、あちこち乗り降りするからと、普通の一日乗車券を買った。

 電車に乗ってから、嫌な予感がした。今日は日曜日だと思っていたが、ひょっとして4月29日? まさか昭和記念公園は入園無料の日じゃあるまいか? だとしたら混雑する? でも、あれだけ広大な公園だから大丈夫か?

 

 不安を抱えつつ、まずはお不動さんへ。いつものとおり、和やかな賑わい。

 再びモノレール。途中の車窓から、民家のような所に人だかりができているのが見えた。土方歳三の生家で、資料館になっているらしい。人気あるのね。

 

 立川北駅でたくさん降りるのは当たり前なのだが、嫌な予感がしていたので、途中でパンを買っていく。公園までの道では異変は感じなかったが、公園のとっつきから入場口まで。人の列が続いているのに驚く。あとで分かったのだが、駐車場がいっぱいだった。車で来る人が多いのだろう。

 門まで来ると、思ったとおり入場券売り場の窓口は閉まっていて、「昭和の日」で無料との貼り紙が。

 

 みんな、無料は好きだよね。わたしだって「無料」とか「お得」とかは大好きだ。

 でも、人ごみへの厭悪はそれよりも強い。毎日満員電車に乗って、新宿駅構内の縦横斜めの雑踏を泳ぎ渡っているけれど、だからこそ混雑は嫌いだ。

 

 それでも中へ入ってしまえば、なにしろ広大だから、なんとかなるだろう。

そう思ったのに、どこまで行っても人の列。前に来たときと全然ちがう。おまけに季節外れの炎天下。わたしは日傘があったが、夫は帽子を持ってこなかった。昼時だから太陽が高く影が短い。

 売店やレストランは案の定たいへんなことになっているから、パンを買ったのは正解だったが、それを食べる場所がない。きょろきょろしながら歩くが、ベンチはどれもうまっている。シートがあれば木陰の芝生で食べられるが、その用意もなかった。

 ところが夫が奇跡的に席を見つけてくれた。それも、なんとテーブル席。でも、困っている人たちがいるから、ゆっくりもできず、そそくさと食事を済ませて席を立つ。

 

 ちょっと歩いたけれど、どこも人が多いし、天気もひどすぎる。この日射は、夫の命にかかわる。日を改めて出直すことにして、出口へ向かう。

 

 つまらないし、せっかくの一日乗車券なのだからと、終点まで乗ってみることにする。

 終点は上北台。ここから多摩湖まで歩けるはずなのだが、どのくらいかかるか分からないし、なによりこの炎天を歩くことには恐怖を覚える。

 相談の結果、駅の周辺をぐるっと歩いただけで、帰ることにした。

 

 帰りは運転席の後ろの二人掛けの席。運転士さんと同じものが見られる、子どもに人気の席だが、わたしたちは気楽だから選んだので、別に最後尾の同様の席で良かった。本当は最後尾のつもりで間違えて座っただけ。

 通路をはさんだ同種の席には、ちっちゃい男の子がお父さんと一緒に座り、喜んでいる。やはりここは鉄ちゃん養成席なのか。

途中から小さい男の子が乗ってきて、先に座っていたお父さんが「お友だちにも座らせてあげようね」と、つめるか膝に乗せるかしていたけれど、わたしたちは半分眠っていた。

それでもかわいそうになって、終点ひとつ手前の駅を発ったところで、席を立った。

 

 帰ってから調べると、上北台から多摩湖までは、たいした距離ではなかった。こんな天気ではないときに、また行ってみよう。多摩湖から狭山湖へぬけ、西武線で帰って来ようか。

 狭山湖へは、小学校1年か2年の遠足で行った。あの頃は狭山湖駅だった。その後、西武がライオンズを買って、西武球場前なんていう無粋な駅名に変わってしまったが。

 本当に、近いうちに行ってみよう。村山貯水池と山口貯水池と。

 

 

 

 

●5月4日(金)

 所用で白山に行ったので、ついでに小石川植物園へ。

 入園料を払おうとしたら、受付の人が驚いて「今日はみどりの日で無料です」と。

 昭和記念公園に次いで、また無料の日に当たってしまった。驚かれたということは、みんな知っていて来ているんだね。

 

 桜の木の下に、シートを敷いて、途中で買ったパンを食べた。説明板によると、この桜は、何かの光線を当てて黄色い花を咲かせるようにしたものだとか(もちろん今は咲いていない)。

こういうのを見ると、なるほどここは研究施設なのだなと思う。もともとは幕府の薬草園。それがどうして東大の施設になったのか。誰か、ここを残そうとして必死に奔走した人でもいたのではないかと、勝手に想像してみる。

 

 閉園時刻が近かったので、ちょっとの間ぼうっとしただけで、あまり歩けなかった。

 

 ここは好きな場所。地下鉄を上手く使えば、そう遠くはないのだから、また来よう。

 

 

 

 

●5月11日(金)

 昨夜8時頃、夫と一緒にごみを出しに表へ出た。用事を済ませて前庭でぼうっとしていると、夫が「猫がいる」と。見ると、植え込みの中を何かが歩いている。

 でも、猫にしては大きい。犬だとしたら異常事態。

犬じゃない。平べったい。黄色い。

顔が見えた。

アナグマだ! 

よく見て確かめようと追いかけたが、ひょいひょい走って、あっという間に道を渡り、行ってしまった。その道の先には緑地帯があり、公園という名の鬱蒼とした山へ続いている。きっとあの山に棲んでいるのだろう。あの山にはフクロウもいて、フクロウとアナグマとは食べ物が似ている。

 

驚いた。野生のアナグマを見たのは初めてだ。井の頭の動物園では見たと思うけど。

タヌキなら、千歳村でも見たし、こっちに来てからも公園で瀕死の子ダヌキを見たことがある。夫はタヌキと、ハクビシンらしき獣とを見たそうだ。

でも、アナグマは初めて。いるんだねえ。

 

なお、わたしは幼時から図鑑を絵本代わりに見ていたし、TVの動物番組〜ペットよりも野生動物を紹介するもの〜は今も大好きだ。だから、アナグマ、タヌキ、ハクビシン、アライグマ、レッサーパンダの区別は完全につく。日本にレッサーパンダはいないけどね。

 

うれしいな。野生のアナグマ見ちゃった。

月に三回は行く別の公園は、奥の方にはウサギがいるという話だ。

良い所に住んでいると、改めて思う。

 

 

 

 

●5月20日(日)

また、何かと遭遇した。ここのところ、動物運(?)がついている。

多摩ニュータウンは多摩丘陵を切り刻んで、計画的に造られているから公園も多い。

だだっ広いきれいな公園も多いが、丘陵のかけらに道をつけるなどの整備をした、山のような緑地や公園も多い。

昨日、そうした公園の一つでのこと。茂みががさがさと音を立てているから、画眉鳥でもいるのかな、それにしても派手な音だなとのぞきこむと、側溝の中に獣が見えた。え?と思う間もなく、ふたのある下に消えたしまった。

測ってみたら、側溝の幅は30センチ。明るい色でとがった顔だったが、この大きさならたぶんイタチだろう。

いろいろなものが、いるんだなあ。

そんなところに、いきなりコンクリで町を造ってしまったのは、申し訳ない気もする。

せめてこうしたかけらは、大事にしていかないと。

 

 

 

 

   

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