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多摩丘陵から 〜日記のようなもの      

 

2018年1月 1日  3日 5日 20

 

●1月1日(月)

 今年は戊戌の年。つまり、あの運命の年から120年となる。

 もしも、あの政変がなかったら、載湉くんの改革がつつがなく進んだら。

 などという仮定を考えるのは苦手だ。そんなことをすれば、トラルファマドール星人を当惑させてしまう(Kurt Vonnegut Jr.Slaughterhouse5』)。

 でも、考えたくもなる。あのとき、変法運動は輝いていた。そして載湉くんは、希望の星だった。それは間違いない。

 だから、政変がもたらしたショックと落胆とが強烈なものとなり、そしてそのエネルギーの行き先が、結局その後の歴史を決めていったわけだ。

 失意の内に故郷に身を潜めた楊篤生が、先鋭な革命家として歴史に再登場したように。

 

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 きれいに晴れた、良いお元日。月は十五夜、明日が満月。今月は満月が2回ある。ちなみに明日はいわゆるスーパームーン。道理で今日のお月さんも、やたら大きい。

 前回のスーパームーンは多摩モノレールの車窓から見た。明日もモノレールで出かけようか。本当は多摩動物公園のユキヒョウの赤ちゃんを見に行きたいのだけれど、混雑するだろうな。

 

 

 

 

 

●1月3日(水)

 昨日は高幡不動尊へお詣りに。8時過ぎに着いたが、既にすごい人出だった。けれどもちょっと並んだくらいで、上にも上がらせてもらって、一通り回ることができた。

 駅からの道が車両通行止めになるのが9時からということで、帰りは道いっぱいの人だった。

 

 帰りのモノレールから動物園の入り口を見たら、開園15分くらい前で、数十人の列ができていた。もっとも多摩は園内が広いから、入ってしまえば散るので、たいした混雑にはならないだろう。

 やっぱり見たいな、ユキヒョウのフクちゃん。早く行かないと、赤ちゃんじゃなくなってしまう。

 

 

 

 

 

●1月5日(金)

 昨日、ついに多摩動物公園へ。結婚したばかりの頃に行ったきりだと思うから、ずいぶん久しぶりだ。今回は夫が都合つかなかったので、一人で行った。

 子どもの頃から、上野より多摩が好きだった。今は改善されているはずだけれど、昔の上野は「狭い殺風景な檻に閉じ込められた動物たち」という感じで、かわいそうで嫌だった。一方多摩は、だだっ広い所にゾウさんとシマウマとキリンさんとダチョウとが、一緒にのんびりしているイメージ。なにしろ、放し飼いのクジャクが頭上をわっさわっさと飛び回っていた。友だちには「多摩は歩くからいやだ〜」という人が多かったが、わたしは歩くのは大好きだ。

 今回の目的はユキヒョウのフクくん。アジア園は一番奥なので順々に見ていくが、網羅的に行くつもりもないので、今回はアフリカ園はパス(帰ってから、サーバルキャットがいたことに気づき、後悔)。

 

 歩き始めてすぐ、専用の餌場で食事中のクジャクさんに会う。二つか三つの女の子が、ほとんど触れそうなところにしゃがみ込んで、じっと見ていた。クジャクの方は慣れているだろうが、女の子は何を思っていたのだろう。

 

 大好きなワシタカ類を見てからオーストラリア園へ。ネズミカンガルーのあまりのかわいさ。誰もいないのをいいことに、しばらくしゃがみ込んで眺めながら、笑うだけ笑った。ヨタカもかわいい。コアラはガラスのすぐ向こう、ほとんど接するところで、熟睡中。毛玉状態だった。

 ワラビーやらタスマニアデビルなどを見てからワライカワセミさんとこんにちは。鳴くのは朝か夕方が多いとのことで、聞くことはできなかったが、きれいな鳥だ。カワセミ類では最大とか。普段見ているカワセミの、何倍だろう。

 

 そしていよいよアジア園。オランウータンさんは瞥見して、ユキヒョウへ。大人のヒョウが岩の上にいた。「よく探してね」との説明板があったが、なるほど灰白色に灰色の紋の身体は岩と同化している。

 肝腎の親子は11時半から13時半に展示との掲示。時計は10時半。諦めて出直すか、待つか。迷いながらも、取り敢えずほかのも見ようと、レッサーパンダや蒙古野馬、狼さん、ウシ科のみなさんなどなど、いろいろ見て回っているうちに、気づけば5分前になっていた。

 慌てて戻ると、列ができていた。近くからガラス越しに見る人は数名ずつ入れ替え制だが、正面からなら自由に見られるとのこと。大した列でもないので、取り敢えず並ぶ。

 親子がなかなか出てこないとかで、ちょっと遅れて開始。わたしは3番目の組だった。フクちゃん、いました。6月2日生まれだから7カ月。「赤ちゃん感がない」「赤ちゃんというよりジュニアだ」と皆さん口々に言うけれど、おかあさんの半分くらいしかないのだから、十分かわいい。ここで2分半見たあと、正面にまわる。

 ここで堪能した。おかあさんは木の台の上に寝そべったままなのだが、フクちゃんは動く動く。おかあさんのいる台に上ろうとするが、上がれなくてぶら下がり、結局落ちたり。ちょろちょろ動いておかあさんにぶたれたり。くだんの台には、助走をつけたら上がれたが、おかあさんの一喝で転げ落ちた。

 おかあさんはきつくて、何度も叱りつける。それでもフクちゃんは、ちょろちょろ動き回る。

一番すごかったのは、わたしの目の前の金網を上り始めたこと。見る間にどんどん上って、見上げるほどになった。お腹〜と思って喜んでいたら、おかあさんが一跳びでフクちゃんをもぎ剥がして落とした。それからビンタを何度も。

おかあさんとしては、フクちゃんの安全が第一なのだろう。何年か前、この多摩でユキヒョウのおかあさんが死ぬ事故があったが、あれも赤ちゃんの危険を感じて突進してのことだった。ヒョウに本気で跳ばれたら、人間の能力ではとても反応できない。

フクちゃんがかわいいのはもちろんだが、おかあさんも美しくかっこいい。こんなすばらしい獣も絶滅危惧種だ。フクちゃんの母はオーストリア生まれで父はカナダ生まれ。世界中の動物園が協力して遺伝子を管理している。ユキヒョウの毛皮はユキヒョウが着ているからこそ美しいのに。

はりついて15分ほど見ていたが、フクちゃんが扉の閉まった寝部屋の前を動かなくなってしまったので、疲れたのかなとかわいそうになり、帰ることにした。

 

戌年にちなみタヌキ展をやっているというので、正門前の案内所に寄ると、ランランとカンカンの剥製があった。なぜここに? わたしが見たジャイアントパンダは彼らだけだ。小学生のとき、5月の連休に遊びに来た従弟たちと行った。小雨がふっていたのでがらがらで、ゆっくり見られたことだけ覚えている。

 

客層は、小さい子どものいる家族連れのほかは、中学生くらいの女の子とグループか。一人で来ている人も案外多いが、それはみな大きなレンズを付けたカメラを持った、おにいさんかおじさんかおじいさんで、わたしのようなおばさんは見なかった。

でも、一人動物園は楽しいよ。何を見るか、どのくらいの時間いるか、ぜーんぶ自由だ。感想を言い合えないのは寂しいが、それは帰ってから夫が辛抱強く聞いてくれた。

 

2時間半いて、お腹いっぱいで帰ったはずなのに、後で案内図を見直して、トラ忘れてた! カワウソ見てない! モグラのいえ! とほぞを噛んでいるのだから、ばかな話だ。ネズミカンガルーで笑っているときは、これだけで帰っても満足だと思ったくせに。

 

動物園、くせになりそうだ。モノレールを使えば近いのだから、また行こうか。今回は健康管理のためとかで見られなかったチーターの赤ちゃんたちにも会いたいし。

 

 

 

 

 

●1月20日(土)

 あれ以来ほぼ毎日、ネットでフクちゃんの動画を見ている。大きくなってしまう前に、もう一度行けるかな。

 世間が上野の大熊猫・香香(この字だと「シアンシアン」だと思うのだけれど。命名者の一人の小学生が「上野の上でシャンシャン」と言っていたのが正しい)で沸いているとき、多摩の雪豹・フクくんで騒いでいるわたしは、おへそが曲がっているだろうか? でもフクちゃんも結構な人気だ。

 香香とフクちゃんとは同じ去年の6月生まれだけれど、フクちゃんのほうが10日早い。でも見られる時間はフクちゃんのほうが短い。香香は大幅に延長するようだけれど、フクちゃんはどうなのだろう。

 

 

 そもそもは、新聞に折り込まれていた多摩モノレールの広告で、フクちゃんの写真を見たこと。木につかまって後足で立つ姿は、反則もののかわいさ。そこに書いてあるセット券が一日乗車券+入園料で1000円で、動物園にしか行かなくても割安だということで、その券を買って行っているのだから、モノレールの術中にまんまとはまっているわけだ。

 今までモノレールは高いという印象があって、ほとんど乗ったことがなかった。夫が「パスモが急に減った」というので履歴を調べたら、運転免許証の更新のためにモノレールに乗ったのが原因と分かったり。

 

 でも、南北に弱い東京では、モノレールは便利だ。赤字だろうけれど、これができるまではバスに頼らざるを得なかった人たちも多い訳で。運賃が高いのも、仕方ないのだろう。

 モノレールなら、動物園も高幡不動尊も昭和記念公園にも、簡単に行ける。動物園など近過ぎて乗り過ごしそうになったほど。モノレール無しだと、ぐるっと大回りするかバスと電車と乗り継ぐかしなければならないところだ。昭和記念公園なんて、とても良い公園だけれど、モノレールがなければ絶対に行かない。

 町田まで延伸するという計画があるそうだが、実現すれば町田と立川とが一本で結ばれる。これって、すごいことではないか?

 実現するとしても、いつのことか分からないけれど、果たしてそれで得するのは、立川か、町田か。町田が勝てる訳ないけれど、立川まで一本で行ける!というのは、売り文句になるのかな。

 

 

 

  

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