日記表紙へ

 

 

多摩丘陵から 〜日記のようなもの      

 

2011年1月 2日 8日 24

 

1月2日(日)

 2011年。ついに、辛亥100年!

 

 昨日、今日と、穏やかに晴れ、静かなお正月。

 

 昨日はすぐ近くのお宮さんに、無事に住まわせてもらっているお礼を述べに行った。

 

 今日はカメラを持って公園へ。こうやって出かけるのは、ずいぶん久しぶりだ。1年半か、もっとかもしれない。

 2時半から4時過ぎまで、日が傾いていく中、撮りまくった。光るススキや青空に浮かぶ梢といった、いつものお友だちたち。ネガで、夫が2本、わたしも1本撮った。

 できてくるのが楽しみだ。

 

 

 

 

1月8日(土)

 朝、7時半ごろから公園へ出かけた。寒さを覚悟して第一級の装備で出たつもりだったが、それでもなお寒かった。

 

 けれども、やはり朝はよい。雲ひとつなく、山はくっきりかっきり見える。池の氷は、誰かが引き揚げてあったのを計ると、2センチほどあった。

 そして何より、朝は鳥が多い。すぐ目の前の梢で、なにやらたくさんちょこちょこしているのが、エナガさんたちだったり。コゲラが3羽、くるくるしていたり。ムクの群れに交じってツグミさんが歩いていたり。植え込みの下をガサガサかき混ぜて、ひょっこり顔を出すのはアカハラ君。パンパンにふくらんでいると、デデポポ(きじばと)なんかでもかわいらしい。カワセミともすれ違った。あの人は、はっきり見えなくても色と大きさとですぐ分かる。

 モズが1羽わたしたちのすぐ前にいて、しばらく逃げないでいてくれたので、夫が何枚も撮ることができた。残念ながら鳥を撮るようなレンズではなかったが、それでもそれと分かる程度には撮れた。

 

 そんなこんなでゆっくり歩いて、家に着いたら10時近くなっていた。

 

 その後、駅前のスーパーへ買い出し。駅との往復は、さすがに平日は最短の大通りを行くが、休日には公園の中を抜けていく。カワセミやヤマガラ、ジョウビタキなどに会えることが多いから。

 にゃんこ道と呼ぶその道で、行きはトラちゃんに会った。ここに君臨している巨大茶トラで、人を真っ直ぐ睨めつけ、決しておどおどしたりはしない。今日も風除けの茂みの前の陽だまりの特等席に丸くなり、こちらを睨みつけてきたので、ごめんなさいとつぶやいて通りすぎた。

 少し行くと、植え込みの前の石積みの上で、キジトラがご飯を食べていた。お腹が大きいようだ。

このキジトラは、以前はトラちゃんといつも一緒にいた。わたしたちが越してきたばかりの頃は、3匹の小さなキジトラもいて、その子たちはお尻のあたりが黄色かった。

最近は、トラちゃんと一緒にいるのは赤っぽいまだら猫で、キジトラはいつも一人でいる。3匹のジュニアは、とんと姿を見せない。1キロほど離れた住宅街で、夫がお尻の黄色いキジトラに声をかけられたそうだ。それがジュニアの一人だったのかどうか、定かではないけれど。

にゃんこ関係にも、いろいろと綾があるらしい。

 

 などと考えながらの帰り道、いつもトラちゃんのいる辺りの手前で、不思議な鳥を見た。

 イソヒヨドリ?

 写真でしか見たことがない鳥だが、あの大きさ、あんな色、ほかには考えられない。もっと見たいと思ったら、駐車場の柵から梢へ移ってしまい、逆光になってよく見えない。裏側に回ろうと歩を進めるが、そうすると鳥も先へ行ってしまい、また逆光。そんな風に追っかけっこをしているうちに、鳥は飛び去ってしまった。

 家へ帰って図鑑を確認する。「イソ」と言うくらいで海岸の岩場にいる鳥とのこと。まれに崖と似た都会のビルに営巣するとのことだが、ここは内陸。多摩の山の中だ。海までは遠い遠い。

 けれども、あの色といい大きさといい、ほかに考えられない。青い鳥ということでページを繰ってみたが、該当しそうなものはない。例えばルリヒタキはこの辺で見たことがあるが、大きさが全然違う。今日見た鳥は、ツグミやムクドリと同じくらいの大きさがあった。

 あれは何だったのでしょうか?

 

 なお、トラちゃんは陽を浴びて金色に輝き、丸くなったまま顔も上げてくれませんでした。

 

 などと書きながら、布団をひっくり返しにベランダに出ると、すぐ下にカワセミがいた。飛び去るまでしばらく見ていたが、何人もの通行人は一人も気づかなかったようだ。

 関心のない人には見えないんだね。わたしも、いろいろ見えないものがあるのだろうな。

 

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 うーむ。これを書くために図鑑を繰っていて、判明した悲しい事実。

 ここに越してきて出会い、親しんできた鳥。張りのある強い声で、口まねできぬ複雑な歌を聞かせてくれる鳥。全く見たことのない鳥だったので、図鑑を調べて、アカハラかな?と思った鳥。それにしても、どの写真もあの鳥とはちょっと違うのが気になっていた鳥。アカハラには目の周りの白い個体もあるという記述を当てにして、この辺の子たちは、そういう子たちなんだと思い込もうとしていたのだけれど……。

 あれは、アカハラではなかったようだ。どうやらガビチョウ(画眉鳥)というらしい。しかも、外来種。おまけに特定外来生物に指定されて厄介視されているらしい。

 どう見ても、アカハラよりこちらが近い。美声ゆえに中国で愛玩され、鳴き合わせなんかもするらしい。日本にも同じ目的で持ち込まれたが、声が大きすぎて流行らなかったとか。

 複雑な節回しの美声。大きな声。やぶをざくざくする捕食法。どれをとっても、あの鳥にぴったりだ。まず間違いないだろう。

 しかも、競合し駆逐する怖れのある在来種にアカハラが入っていた。

 

 明日からどんな顔をして、やぶからひょっこり顔を出す道化者たちと顔を合わせればよいのだろう。

 まあ、いいか。日本に持ち込まれたのも、人の手を離れて定住し繁殖したのも、彼らの罪ではないのだから。

 

 

 

 

1月24日(月)

 昨夜、雨が降ってくれた。先月半ばから、たぶんまる1カ月降らなかったのだと思う。なにもかも乾燥しきって、毛布をいじると痛かったから、この雨はうれしい。しかも、夜の間だけ降って雪にもならずに朝にはあがり、道路の凍結もなしという好都合ぶり。ありがたいけど、もうちょっと降ってくれるともっとうれしい。

 

 昼、本郷の路地裏をでたらめに歩いていたら、初めての道で満開の梅に出会った。姿より先に香りで気づいたくらい、よい香りだった。つい先日、湯島様で咲き始めたと新聞で読んだばかりだ。ちょっと早いのではないだろうか。

 梅は好きだ。桜より好き。香りも姿もよい。菅公の愛された花でもあるし、わたしにとっては祖母の花でもある。

 

 来月には湯島様で梅まつりが始まる。境内を歩くのもよいけれど、女坂の眺めが一番好きだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

日記表紙へ