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千歳村から 〜日記のようなもの      

 

2009年2月 4日 15日 18日 28日

 

2月4日(水)

 立春。この日を一年の始まりとする考え方もあるそうな。

 

 十日ほど前から生活の仕方を変えた。事情があって臨時に夕飯の時間を変えたら具合がよかったので、そのまま継続しているのだ。結果として、夕方の時間が減って夜の時間が増えた。二人で過ごす時間が増えたわけなので、それは楽しいのだけれど、……自分の時間がなくなってしまった。で、この日記もなかなか書けない。今やっと時間を盗んで書いている。

 

 井上清と遊ぶ時間も欲しいし。

 

 せっかく取り寄せたカスタネッツのライブ盤も、まだ聴いていないし。

 

 エレカシの新曲は疑問符が山ほどつくし。

 

 ちょっと情緒が不安定気味になっている。

 

 文京区の神田川(御茶ノ水の谷)で河津桜が咲いている。気づいたのは昨日。今日見たところでは三分咲きくらいか。

 梅も香り始めた。来週には湯島にお詣りに行かねば。

 

 

 

2月15日(日)

 花粉だ。薬を早めに飲み始めたほうがよいと聞き、東京の開花予想日は20日頃だからと、7日頃から飲み始めたのだが、こんなに早く来るとは反則だ。

 いやな感じがして、まさか違うよねと否定していたのが12日か13日。昨日からはもう、ごまかしようがなくなっている。

 目がかゆい。今のところ、鼻より目がきつい。

 それでも自覚がいまひとつで、ついマスクなしで外出してしまう。今はまだちょっとぐずる程度だが、明日から気をつけねば。

 幸い、このばか陽気は今日までで、また冬に戻るらしいから、花粉も一息つくだろう。

 

 ばか陽気といえば、昨日夫が道で動く葉っぱを発見し、なんじゃ?と見ると、背に葉をくっつけたがまがえるだったそうな。陽気にだまされたのだろう。気の毒に。明日から無事に生きられるだろうか。

 

 井上清と遊んでいる。簡単な紹介文を書くつもりだったのが、長くなってしまっている。

電車では羽仁五郎を読んでいる。ここのところ、学生時代に恐がって近寄らなかったり、近寄って泣かされたりした大家たちを、読んでみている。

 読んでみればおもしろいじゃないか。もちろん、訳の分からぬ話をされると訳が分からぬが、一般向けに書かれた本なら読める。服部之総なんかもおもしろい。大塚久雄も大丈夫かも。

 分かったり分からなかったり、うなずいたり反発したりしながら、完全に消化はできなくてもよいから、ともかく読んでいる。なめている。かじっている。

 

 

 

2月18日(水)

 お昼に湯島へお詣りに。梅まつりの最中で、人出が多い。女坂の梅は、まだもう少し。ここが咲きそろうと壮観なので、来週もう一度行くつもりだ。

 

 朝9時前の四ツ谷駅で、隣のホームに武蔵小金井行きの赤い電車が停まっていた。そのドアの所におじさんが立っていて、読んでいたのが『囲碁の基礎』という本だった。

 こんな時間に下り電車に乗っているおじさん。きちんとした身なりだが、この時間では新宿に着くのも9時は回る。新宿でなく、もっと先まで行くのかも知れない。定年過ぎて、嘱託か何かの余裕のある身分になって、老後の趣味として碁を始めたのだろうか。

 ちょっといいなとも思い、夫に話したら、言下に否定された。「だめだね」と。

 碁というのは頭脳の格闘技だから、年をとってから始めてもだめなのだそうだ。老後の趣味にテニスを始めるようなものだと。若い頃からやっていたのならともかく、年とってからでは上達は望めない。碁会所でカモにされ、小学生にも勝てなくて、いやになって止めるのがおちだ……と、にべもない。

 彼の父親が碁を趣味にしているので、小さいときから色々見ているのだろう。

 

 下手の横好きでも、若い頃からごそごそやっているほうがいいのかな。

 

 

 

2月28日(土)

 花粉がひどい。今季最悪。ついに点鼻薬を使ってしまった。

 

 精神状態も最悪。

 悪魔の思想が頭をもたげる。

 仏徒にあるまじき、クロポトキンの徒としても許されざる思想。そんなものを信奉しはしないが、考えるだけでも穢らわしい思想。

 被害者の遺族の悲しみが量刑を左右するなら、身寄りのない人は殺しても罰は軽いのか? 人の命に軽重があるのか? 殺してはいけない命と、殺してもよい命と、殺したほうがよい命とがあるのか? かつて横浜スタジアム辺りで路上生活者たちを暴行殺害し、「ゴミを片づけただけ」とうそぶいた少年たちは正しいのか?

 生まれながらに尊く、襁褓の内にあるときから敬語で遇される命と、そうでない命、生まれてこないほうがよかったような命とがあるのか?

 「奴はだめになった」って、「だめ」って何だ? 使い物にならないってことか? 社会の役に立たない人間は、生きていてはいけないのか?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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